踊ってから考える

エンターテインメント過剰摂取記録

『星と脚光 新人俳優のマネジメントレポート』を読んだ。

※まあまあネタバレしてるよ!

 

 

 

『りさ子のガチ恋♡俳優沼』の松澤くれは先生の新刊が出たぞー!ってことで発売初日にKindleしました。

 

以下公式からのあらすじ

芸能界は事件がいっぱい!
天然新人俳優×全力マネージャー

私があなたを星(スター)にして見せる!

気鋭の舞台演出家が描くお仕事青春小説!


弱小芸能事務所・天神マネジメントに転職したまゆりが、オーディションで目を付けた、天真爛漫な新人俳優マコト。彼は破天荒な行動ばかりでまゆりを振り回す。二人は人気2.5次元舞台の出演を二人三脚で目指すのだが、マコトの暴走、大手事務所の妨害、さらに過去のスキャンダルと、舞台デビューはトラブル続きで!?
気鋭の舞台演出家が芸能界の光と闇を描く、お仕事青春小説!

 

いや、こんなの買うしかないでしょ。りさ子の作者が書く若手俳優の話、読むしかないでしょ!
Kindleの予約が始まった日に予約して、発売初日にKindleしたわけですが……


先に書いておきますが、これは感想ブログであると同時にお気持ち表明ブログです。
ストーリーは面白かったけど、フロア側、客席側の人間として割と怒ってるので、最初はブログを書くのもどうしようかとも思ったんですけど、りさ子であそこまで「見る側」の話を書いたんだから、当然こういうお気持ち表明ブログも想定内ですよね!?って気持ちで書いてます。

 

これは言い訳ですが、わたしは松澤くれは先生の小説、今回の『星と脚光』の他、『りさ子のガチ恋♡俳優沼』は当然として『鷗外パイセン非リア文豪記』も買ってますし、『最期の初日』のために小説宝石も買って読みましたし、舞台もりさ子の再演後の『トルツメの境界線』、『共骨』も観に行ってるので、ファンを名乗ってもいいのでは?と思ってますし、だからこそのお気持ち表明ブログです。

 

まさに!これが!ファンの勝手なお気持ち表明ブログ!

 


話を戻す。
タイトルや引用したあらすじにある通り、『星と脚光』はある事件がキッカケで大手芸能事務所を退職、一年の引きこもりを経て弱小芸能事務所の天神マネジメントに転職したマネージャーの菅原まゆりが主人公。
まゆりは古巣の事務所で行われたタレント養成学校の生徒のオーディションで一人の青年をスカウトする。
ドラマに出ることを目標とする若手俳優の卵、マコト。
まゆりはマコトを売り込むために旧知のテレビ局のプロデューサーやキャスティング担当に会いにいくが、大手所属ではなくなったまゆりに周りは冷たく、上手くいかない。
そんな中、天神マネジメントの看板で人気若手俳優集団「ヤミテラス」のリーダーの神武武士が主演の一人として出演していた人気2.5次元舞台「けまりストライカーズ」通称「まりステ」が原作に追い付いたことを理由にキャストを一新、2ndシーズンを始めることになり、まゆりとマコトは主演の座を目指して、オーディションに挑む。
オーディションはプロデューサー、もう一人の主演俳優でまゆりが元いた大手芸能事務所所属の秋山悠、新進気鋭の演出家・胡桃沢ミルクの他、ネットの生中継で視聴者も投票が出来る参加型オーディション。
マコトは初演の舞台の台詞は勿論、原作を読み込み、主役のキャラの衣装を再現し、見事視聴者投票、演出家の票を得て、主役の座を射止める。
しかし、キャストが発表されると主役はオーディション2位で秋山悠と同じ事務所の唐巣トオルになっており、マコトは脇役の老け役に。
まゆりは抗議に行くも、決定は覆らず。
新キャストは観客に受け入れられ、まりステの稽古が始まり……


は???
待って???
生放送の視聴者参加型のオーディションをやって、視聴者と演出家が選んだキャストじゃない配役が受け入れられる?????
どこの世界線の話?????
この世界の観客は感情がないのか?????
そんなわけあるかーーーい!!!!!

 

いやいやいやいや、これ絶対ダメでしょ。1000%炎上するでしょ。炎上しないわけないでしょ。

 

まず「まりステ」のファンのお気持ち表明ブログでしょ、原作ファンのお気持ち表明ブログでしょ、秋山悠のファンのお気持ち表明ブログ、神武武士のファンのお気持ち表明ブログ、唐巣トオルのファンのお気持ち表明ブログ、胡桃沢ミルクのファンのお気持ち表明ブログ、三日三晩お気持ち表明ブログがTLに流れ続ける大炎上祭でしょ、これ。

 

こんなに全方向の客を馬鹿にしてることある?
既にシリーズ化してる舞台で、世代交代のオーディションを公開でやって、視聴者に投票させて、その場で結果が出てるのに、結果と違う配役が受け入れられる?そんなわけ絶対にないね!

 

世代交代のオーディションを観てる客はそれぞれの推し俳優はいるだろうけど、「まりステ」が好きだから、次の世代のオーディションに参加してるわけだし、そこで視聴者1位をとって、演出家が支持した俳優を理由の説明もなく配役変更させられて、納得して今後も「まりステ」を応援する?するわけないじゃん!

 

どっからどうみても圧力が掛かって配役変更になってるのが丸わかりで、そんなことを自分の好きな舞台でされて「まりステ」のファンが納得する?自分の推しがゴリ押し丸出しで主演になってて、唐巣トオルのファンは喜ぶ?自分の推しが引っ張ってきた舞台でそんなことされて、秋山悠や神武武士のファンは納得する?「面白い舞台が作れればいい!」って生放送で宣言した演出家が配役変更に何も言わずに演出続けてて不信感持たない?


全部無理でしょ。
こんなの燃えるだけ燃えて、演出家が降板するか、舞台公演が飛ぶか、配役を戻すかするまで収まらないでしょ。
虚無どころか地獄でしかない、こんな舞台。

 

小説の中の話って言ったらそれまでだけど、この小説の中の世界で若手俳優推すのも2.5次元舞台観るのも絶対に嫌だね。
こんなにも観客が軽んじられる世界。

 

マネージャーと若手俳優の話だから、何かが起こらなきゃ話が進まないのはわかるけど、だったらオーディションは密室でやれば良かったわけで、そこで原作者と演出家が支持したけど……でも同じ流れになったと思うんですけど、オーディションを公開設定にしたのは何故?
その方が主役の若手俳優の魅力と大手芸能事務所のやり方の汚さが際立つから?そのために「まりステ」のファン、「観る側」を軽んじたんです?
いや、本当にマジで。

 

この後の展開はまあ、初舞台で老け役に成りきれず四苦八苦するマコト、まゆりとマコトの因縁が明かされ、それでも舞台は開き……最終的にはハッピーエンドで続編が期待される爽やかな内容で全体的には面白かったですよ、わたしはオーディションのところで完全に虚無になって、この話からは心が離れましたけど。

 

松澤くれは先生の文章は読みやすいし、この手の「推し」を題材とした話の中ではやはり抜群に解像度が高いし、これはあくまでわたしの感想、お気持ち表明なので、読んだ人の色んな感想は是非読みたいとは思ってるんですが、続編が出るのであればもう少し観客に優しい世界線になってると良いなとは思います。

 

 

以上、勝手なお気持ち表明ブログでした!